教室紹介|主任教授挨拶

消化管科の歴史(すべての皆様へ)

私は2004年の3月に順天堂大学から本学へと赴任してきました。この時、初代の下山孝教授が主宰されていた第4内科が上部・下部消化管科という二つの講座に組織編成され、上部の主任教授として私が、そして下部の主任教授として故·松本誉之先生が就任しました。 私は順天堂から松本先生は大阪市大からと、ともに外部から落下傘的に本学に赴任しましたので、最初は右も左もわからず、すべてが大変だったことを昨日のように覚えております。
それでも5年を過ぎ、ようやく教室運営が軌道に乗りかかったときに松本教授がご病気となり、闘病生活ののち2012年の10月に胃がんでご逝去されました。これをきっかけにふたたび内科講座の再編成がおこなわれ、2014年1月1日付で上部消化管科と下部消化管科が名称変更し消化管科が誕生しました。
また下部消化管科の中村志郎教授を中心とした炎症性腸疾患の専門家は外科の池内教授とともに炎症性腸疾患講座の内科部門・外科部門へと編入され、松本教授が力を注いでこられた日本に誇る炎症性腸疾患診療はさらに発展する環境が作られました。

再編により名称変更された消化管科はそのわれわれが思っていた講座に近づいてきたように思います。これまで上部疾患、下部疾患と専門的に分化されていた消化管科でしたが、これからは上部疾患だけでなく炎症性腸疾患以外のすべての消化管疾患の診療・研究・教育を行うことになったからです。高度に専門分化した講師クラス以上の研究者はともかくとして、特に若い医局員にとっては消化管科として活動できることはとても朗報ではないかと思います。

消化管科の診療(患者の皆様へ)

われわれは地域の皆様に最善で最高の医療を提供するとともに、日本の医療を牽引する基幹施設の一つとなるべく日々努力しています。
現在、消化管科の診療の大きな三つの柱は内視鏡を用いた消化管疾患の診断と治療、進行消化管がん患者に対する化学療法、機能性消化管疾患の診断と治療です。多くの患者さんにお出でいただきたいと思っています。

(1)内視鏡を用いた消化管疾患の診断と治療

現在、内視鏡は消化管疾患の診断だけでなく治療にも使われています。当科では高度な内視鏡治療手技を駆使して年間200例を超える早期食道がん、胃がん、大腸がんの治療を行っていますが、近隣の病院で治療できない難しい症例などに対しても良好な成績を残しており、阪神地区における早期がん内視鏡治療のハイボリューム・センターとして認知されています。
当科では若手医師も実際に多くの症例の治療に加わっていることです。また、常に多くの早期がんに触れるため早期がんの診断技術も上がってきます。医局員の教育にはこれ以上の環境はありません。実際ごく小さな早期がんが日常的に診断されています。
当科では診断、治療の両方において最高水準の内視鏡検査を提供しています。

(2)進行消化管がん患者に対する化学療法

特に食道がん、胃がんの治療に力を入れています。進行がんの化学療法は極めて高度でそして幅広い専門的な知識が必要です。抗がん剤の治療計画の策定には十分な知識が、そして実際の施行には繊細な注意力が必要です。十分な知識と経験をもとに副作用に注意しながら、可能な限り最大量の抗がん剤を投与することはたやすいことではありません。
また進行がんの患者さんは全身状態も低下している場合が多く、抗がん剤の副作用だけでなく、消化管出血や腸閉塞、誤嚥性肺炎などありとあらゆる合併症がおこります。
さらには精神的にも不安定となるため患者さんの気持ちを理解し一緒に頑張っていくという優しく、強い人間性も必要なのです。医師として大きなやりがいを感じる分野であるとともに、臨床を目指す若手医師にとっても、自分の診療技術を磨くうえでもこれほどの格好のトレーニングはありません。
笹子教授が主宰されている上部消化管外科と定期的にカンファレンスを行い、外科とも緊密に連携して治療にあたっています。現在では消化管がんの抗がん剤治療の治療においては関西を代表する施設の一つとなっています。

(3)機能性消化管疾患の診断と治療

当科は、胃食道逆流症、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの機能性消化管疾患の研究では日本をリードしている施設の一つです。日本だけでなくアジアやアメリカ、ヨーロッパにも名前が知れ渡り、われわれの研究活動は国際的であると自負しています。
我が国では機能性消化管疾患を専門的に研究、治療できる施設はいまだ少なく、その意味でおいては非常に社会に貢献していると思います。これらの疾患で苦しんでいる患者さんが非常に多いですが、その病態の解明はあまり進んでいないのが現状です。
腹部症状発生のメカニズムの解明は科学的なアプローチが必要ですが、若い先生方がこの分野に興味をもつことにより、消化管診療レベルが確実に上がっていく効果があります。ますます、この分野の診療、研究に力を注いでいきたいと思います。

消化器内科学 主任教授

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