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GERD(胃食道逆流症)

はじめに

GERD(胃食道逆流症)とは、胃内容物の食道へ逆流しておこる病気の総称であり、逆流性食道炎の合併、あるいは胸やけを中心とした逆流症状が生じることで健康な生活が障害されているものと定義されます。もともとGERDは欧米に多い疾患でしたが、最近日本でも急速に増加しており、良性疾患とはいうもののQOLに大きく影響することから、積極的に治療すべき疾患となっています。

GERDの中でも、内視鏡で食道炎を認める逆流性食道炎の他に、内視鏡的に食道炎を認めないのにもかかわらず胸やけ症状が存在する場合もあり、非びらん性胃食道逆流症(NERD)と呼ばれています。一方で食道に粘膜障害を認めるにもかかわらず逆流症状のない患者さんにもおり、頻度としてはそれほど多くはありませんが無症候性GERDと分類されます。

GERDが増えている現状

食生活の欧米化、ピロリ菌感染率の低下、高齢人口の増大などにより、内視鏡検査で逆流性食道炎と診断される患者数は過去20年ほどの間に急増してきており、今後もこの傾向は続くものと考えます。

GERD症状

GERDの典型的な逆流症状とは胸やけと食道への逆流感(呑酸)の2つです。一般的に胸やけとはみぞおちから前胸部にかけての灼熱感であり、呑酸とは胃酸の口腔内逆流により感じる苦みをいいます。
ただ患者さんによって逆流症状の感じ方は様々であり、例えばその逆流症状を胸痛と感じることもあれば、ムカムカ感や胸のちくちく感と感じる場合もあります。さらにGERDには、慢性につづく咳や喘息、のどの違和感や副鼻腔炎といった食道以外の合併症を伴うことが多いことも分かってきており、GERDが様々な症状の原因となっている可能性があります。

GERDの日常生活への影響

症状のあるGERD患者さんの生活の質(QOL)は軽度の心不全や狭心症、十二指腸潰瘍よりも低いと言われています。実際、胃酸の逆流により繰り返される胸やけ、呑酸症状は非常に辛く、逆流性食道炎の患者さんの日常生活はかなり障害されていると言えます。
また最近では、GERDが睡眠を障害することも分かってきており、GERD治療の必要性が高まっています。

GERD発生に関わる原因

GERD発生の原因として、下記3つが主な要因と考えられています(図2)。

GERDの診断

胸やけ症状がどの程度であるかを問診し、合わせて内視鏡検査を行い、食道に炎症があるかどうかを確認します。食道炎があれば逆流性食道炎、内視鏡的に食道炎を認めなければ、NERDと診断します
内視鏡検査がすぐに出来ない場合には、まずは胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を短期間試験的に投与することにより症状の改善があるかどうかをみるPPIテストが行われることもあります。
一般的に逆流性食道炎の内視鏡分類にはロサンゼルス分類が使用されています。内視鏡での重症度は粘膜障害の拡がりの程度によりグレード AからDまでの4段階に分類され、一般的にグレードA, Bを軽症型、グレードC, Dを重症型と診断しています。
PPI内服後も逆流症状が治まらない場合には、さらにpHモニタリングや食道内圧検査等を追加し、病態を詳しく調べる必要があります。

逆流性食道炎重症度分類(ロサンゼルス分類) 
一般的にグレードA, Bを軽症型、
グレードC, Dを重症型と診断

胸やけ症状発現のメカニズム

胃には酸から粘膜を守る防御機能があります。しかし食道にはそのような防御機能がなく、何らかの原因で繰り返し胃酸が食道内へ逆流したり、逆流した酸が食道内に停滞したりすると、酸に対し弱い食道粘膜は障害されびらんや潰瘍を生じます。このような異常酸逆流により食道に粘膜障害や炎症が生じ、産生された炎症性物質が末梢神経の受容体を刺激することで、胸やけや呑酸などの不快な症状が引き起こされると考えられます。
一方で、内視鏡検査で食道に粘膜異常がなくても症状が出現する患者さんも少なくなく、その原因としては食道の知覚過敏の存在が考えられています。

GERDの治療

GERD治療の目標は、症状を軽減しQOLを向上させることです。
GERD治療の第1選択薬はPPIです。8週間のPPI投与により逆流性食道炎の粘膜傷害が治癒する例がほとんどで、H2受容体拮抗薬はPPIでも食道炎や症状のとれないGERDの補助療法として用いられることが多いです。
過食や脂肪分摂取過多を避ける、腹圧を上げないなどの食事・生活指導も有効ですが、食事・生活指導だけでは不十分なことが多いのが現状です。

患者さんへ

当科では食道知覚に関する診療と研究に力を入れており、24時間pHモニタリング検査、多チャンネル食道内圧検査といった、酸逆流の程度や食道運動を測定する特殊検査装置を用いてより高度で詳細な診断が可能です。
さらに、食道酸還流試験、食道電気刺激検査、食道バロスタット検査といった食道知覚の検査機器も取り揃えており、胸やけや呑酸といった逆流症状が、薬を飲んでも治まらずお困りの方はぜひ一度、当科を受診してみてください。

※お電話やメールのみによるご相談は
お受けしておりませんので予めご了承ください

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