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ヘリコバクターピロリ感染症の診断と治療

ヘリコバクター・ピロリ菌とは

ピロリ菌とは人間の胃の中に住んでいる細菌で、正式名はHelicobactor pylori(H.pylori:ヘリコバクター・ピロリ)と言います。ヘリコは「らせん」という意味で、バクターはバクテリア (細菌)、ピロリは胃の出口(幽門)をさす「ピロルス」からきています。体長は約4ミクロン(4/1000mm)と非常に小さく4~8本のべん毛が生えており、そのべん毛を回転させ、らせん状に移動します。

この細菌はオーストラリアの研究者Jhon Robin WarrenとBarry James Marshallらによって1980年代前半に発見され、急性胃炎や慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の原因となっていることが明らかにされました。そしてその業績が称えられ、彼らは2005年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。その後、このピロリ菌は様々な胃の病気の原因にもなっていることが分かってきており、その代表が胃がんなのです。
日本の研究者によって胃へのH.pyloriの感染が胃がんの原因であり、その除菌治療により胃がんの予防効果を認めることが世界的権威のある論文(Lancet)に掲載され、その論文がなどを根拠としてついに2013年2月からH.pylori感染性胃炎に対してH.pyloriの除菌療法が保険適応となりました。しかしH.pyloriの除菌療法を行っても新たながんの発生を100%予防することはできず1/3の患者さんでは新たな胃がんが発生してきます。

では、新たながんができやすい人はどのような方なのでしょうか?私たちはそのような患者さんを見つけるために臨床研究を行っています。胃がんに対して内視鏡治療を行った患者さんを対象に、内視鏡検査の際に胃粘膜の生検を行い、胃がんになりやすい遺伝子異常が起きていないかどうか?また、その遺伝子異常がH.pyloriの除菌治療によって改善するのか?といった研究しています。
またH.pylori感染したマウスのモデルを作成し、そのマウスに除菌治療を行い粘膜の変化、消化管の機能の変化などを遺伝子レベルから検討する基礎研究も行っております。

当院におけるヘリコバクター・ピロリ菌
検査から除菌までの流れ

ピロリ菌の除菌療法を始める前に、まずは除菌療法の対象となる病気があるかを確かめます。内視鏡検査で胃潰瘍または十二指腸潰瘍、胃炎と診断されてから、検査でピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。
当院では、ピロリ菌の検査には、以下の5種類の方法を用いて行っております。

1.侵襲的検査法(胃カメラ検査を必要とする)

迅速ウレアーゼ法
ピロリ菌のもつ酵素の働きで作り出されるアンモニアの量を調べて、ピロリ菌がいるかを調べる検査です。
鏡検法
胃カメラの際に採取した組織を染色して顕微鏡で観察することにより、ピロリ菌がいるかどうかを調べる検査です。
また培養法という検査もございますが、現在当院では施行しておりません。

2.非侵襲的検査法(胃カメラ検査を必要としない)

尿素呼気試験
検査用のお薬を飲み、一定期間経過した後に、吐き出された息(呼気)を調べて、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査です。
抗H.pylori抗体測定
血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べる事により、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査です。
便中H.pylori抗原測定
便を採取してピロリ菌抗原があるかどうかを調べる検査です。

これらを方法のいずれかを用いて検査を行いますが、複数の検査を行い確実に診断することが大切とされています。

ピロリ菌除菌療法の対象となる人

当院におけるピロリ菌除菌療法の実際

上記の治療を行っております。1次除菌の成功率は約75%で、2次除菌までを含めると成功率は約95%まで上ります。しかし2次除菌では成功しない例もあり、自費にはなりますが、3次除菌も行っております。
すべての治療が終了した後、4週間以上経過してから、ピロリ菌を除菌できたかどうかの検査(尿素呼気試験、尿中抗原測定法、便中抗原測定法など)を行います。この検査でピロリ菌が残っていなければ除菌成功となります。

除菌療法の注意点

ピロリ菌の除菌率を高める為には、指示されたお薬は必ず服用することです。自分の判断で薬を飲むのを中止したり、飲み忘れたりすると除菌がうまくいかず、治療薬に耐性を持ったピロリ菌があらわれて、薬が効かなくなることがあります。
また除菌療法を始めると、副作用があらわれることがあります。これまでに報告されているもので主な副作用は、軟便や下痢があります。下痢の原因として抗生剤による腸管刺激作用や、腸内細菌のバランスの変化と考えられています。これらは多くの場合、2-3日でおさまります。肝臓の機能を表す検査値の変動が見られることや、まれに、かゆみや発疹などアレルギー反応があらわれる人もいます。その他、気になる症状を感じた場合には、自分の判断で勝手に薬の服用を中止するのではなく、主治医または薬剤師に相談してください。

除菌後の注意点

ピロリ菌の除菌療法が成功すると、ピロリ菌が関係している病気のリスクは低下しますが、ゼロにはなりません。除菌後もきちんと主治医と相談し、定期的な検査を続けましょう。
また除菌療法に成功した患者さんのうち、少数の方で逆流性食道炎が報告されています。逆流性食道炎とは、胃液や十二指腸液が食道に逆流して炎症を起こすもので、胸やけなどの症状があります。これは、ピロリ菌の除菌によって、それまで低下していた胃液の分泌が正常に戻ったために、一時的に起こると考えられています。除菌後に胸やけ症状などの増悪があれば主治医に相談し胃酸を抑える薬などの使用を検討してください。

患者さんへ

H.pyloriの感染が胃がんの原因とされてから20年程度しか経過していませんが、H.pyloriの完全除菌により人類の胃からH.pyloriが撲滅され、その結果胃がんの撲滅に繋がる可能性があります。
まだ一度も胃カメラ検査やH.pylori感染の検査を受けたことがない方、この文章を読んで頂き除菌治療に関して興味を持っていただいた方は、最新の知見をもとに最適な除菌治療を提供させて頂きます。是非、消化管内科外来にてご相談ください。

※お電話やメールのみによるご相談は
お受けしておりませんので予めご了承ください

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